相談・解決事例

遺言書の作成で兄弟間の相続争いを防止するための準備を行った事例

相談者
  • T.Kさん
  • 70代
  • 男性
  • 会社員
相談内容
子供2人を持つお父さまからの相続争い防止の相談

経緯・背景

  • 子供が2人いるが、親の立場として兄弟間での相続争いは絶対に避けて欲しい。
  • 不動産をいくつか所有しており、資産の多くが不動産で預金はそこまであるわけではない。
  • このままだと揉める気がしているので、今からできること準備しておきたい。

ご提案

  • 資産の状況を正確に把握し相続税がどの程度かかりそうかを試算するため、まずは相続税試算をご提案。
  • 資産の約8割が不動産であることが分かったため、相続争いも大事だが、同時に納税資金をどのように捻出するかをご提案。
  • 相続争い防止、納税資金の確保を行った結果として、節税になればと良いというこの考え方の順番について、相談者と共有。

相続対策に関する相談で多いのが節税を目的にしたパターンだが、まずは考える順番を事前に相談者と共有

実はご相談に来られるケースとして多いのが、節税を目的にしたものです。多くの税金を払うのがもったいないから、なんとか節税をしたいという内容です。

しかし、相続対策には「相続争い防止」「納税資金の確保」「節税」の3つがあります。順番に関しても、この順で考えることが重要です。今回の相談者も同様だったのですが、多くの方は相続対策=節税対策と勘違いされているので、まずはその認識を正すために、本来の相続対策について認識を合わせるところからスタートしました。

相続対策の認識を合わせたところで、相続財産を全て把握するために相続税試算をご提案

今回の相談者のケースでは相続税が発生することはほぼ確定していましたが、実際にどの程度の相続税が発生するかを試算し、その上で納税資金がどれくらいになるか、また財産の状況から相続争いが発生しそうかどうか、といったことを判断するために相続税の試算をご提案しました。

子どもへの財産の分け方について、お父さまの希望があったため遺言書を作成することに

医者になるため、長男にはより多くのお金をかけたのに対し、次男は医者の道には進まずそれほどお金をかけなかったことから、次男には多めにお金を残してあげたいというお父さまの希望がありました。そこで、遺言書の作成をご提案したところお父さまも納得されたことから、私たちの方では遺言書作成のサポートをさせていただくことになりました。

遺言書を作ったからこそ相続争いになることもあるため、付言事項をつけることも一緒にご提案

お父さまの希望を前提とした遺言書の作成ではありますが、まずは長男の遺留分を侵害しない範囲で財産を分配することを考える必要があります。
※遺留分とは民法で定められた最低限取得できる遺産の割合のこと

それでも、今回のケースでは長男が「確かにお金は多くかかったかもしれないが、僕もその分頑張ったんだから、相続財産については平等にして欲しい」と言い出す可能性があり、遺言書を作成したがために争いが起こることも考えられました。

そこで想いや感謝の言葉を一緒に伝えることができ、相続争いが出来るだけ起こらないよう、付言事項をつけることをご提案したところ、非常に納得されたため、付言事項をつけた遺言書を作成しました。
※付言事項とは遺言書に自由に記載できる事項のこと。法的な効力はありませんが、家族に感謝や希望などを記した手紙のようなもので揉め事を防ぐことが期待できます

財産を弟に全て残すといったケースも対処できます

「確かに私には多くのお金がかかったから、財産は要りません」と長男が言い、遺言書にも全ての財産を弟に相続させると書いた場合でも、先ほど触れたように、長男には遺留分請求権があるため「やっぱり欲しい」と言い出した場合、事前に決めていたことがひっくり返る可能性があります。このようなことを防ぐには、長男が遺留分の放棄を家庭裁判所に申告する必要があります。これで遺留分の請求権がなくなり、全ての財産を弟に残すことができるようになります。

マインズでは弁護士の河村が所属しているので、このように弁護士に力を借りて財産を全て弟に残すといったケースも対応することができます。

担当者からのコメント

財産承継支援機構マインズメンバー  司法書士/矢部 祥太郎

司法書士/矢部 祥太郎

遺言書を作ったが故の争いも可能性としてあるため、お父さまの想いも記した付言事項をつきの遺言書で、できる限り相続争いが起こらないような対策もできたのは良かったと思います。

財産承継支援機構マインズメンバー 税理士/菊地 正和

税理士/菊地 正和

相続対策は「相続争い防止」をまず考えることが重要ですが、節税が目的のご相談だっただけに、相続対策=節税対策の考えを改めていただくことに非常に苦労しました。そこで、ひと工夫し次のような例え話をしました。
誰にあげるか決めないで、親は大きさも重さも違うクリスマスプレゼントを用意するだけで、あとは子供たちで話し合って決めるとしたら揉めますよね?と。これと同じで、相続対策は「節税」でなく、まず「相続争い防止」を考える必要があることをお伝えし、最終的にご納得いただくことができて良かったです。

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